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怒り。

5年ほど前、毎朝バスを待つ間に必ず会う女性がいた。初めてその女性を見かけた時、思わず殴りかかりそうになった。私が未だにこの駅に降りてこの列に並んでいるのはアナタのせいだと。その半年ほど前、私の前に続いていた道に、まったくの悪意から爆弾を落としていった女性に瓜二つだった。

それから毎朝顔を合わせるのが嫌で私は下を向いて歩くようになった。その後、ひとつ手前の駅で降りて歩いて通うようになり本物の彼女のことを思い出すことはあっても、似ているだけの彼女のことは存在すら忘れていた。毎朝同じバスに乗るってことは同じ会社かもしれないってことも、まして今回私は違う事業所に戻ってきたんだから会う可能性があるなんてことも考えもしなかった。

だけど、今日。よりによって遅刻して出社した私がエントランスから入ったところで前から歩いてくるところに遭遇するなんて。本物の彼女じゃないってことぐらいすぐに分かるし勘違いしたわけじゃない。でも、ものすごい痛かった。比喩じゃなくてホントに痛みが走った。一気に血が逆流した気がした。あぁ、私、まだ許してないんだ・・・って思った。そして、泣きたくなった。バカみたいだ、私。

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