自分の価値観がすべての人に通じるわけじゃない。そんなことは分かってるつもりだった。でも、私の価値観の中では、ものすごい喜びとして捉えるであろうことが人によってはホントにどうでもいいことだということを目の当たりにした瞬間。思いのほか、ショックを受けてます。今の私。すんごいどうでもいいことなんだけどね。なんでこんなに衝撃を受けているのか、それすら不思議なくらいに。
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さっき電車に乗っていたらクラシックギターを持ったカップルが乗ってきました。そしてそのカップルの前に座っていたおじさん二人組がなにやら嬉しそうにしゃべっています。そして一人が意を決したようにそのカップルに話しかけました。
「すみません、ギタークラブか何かに通っていらっしゃるんですか?」
「いえ、クラブに入ってるわけじゃありませんけど」
「いや、突然ですみません。このギターケース、実は私が作ったんですよ」
「あー、そうなんですか」
・・・へ?それだけ?
それでもめげないおじさん。
「いやー、今はもう作ってないんですけどね。これ作ったのもずいぶん昔だし。あまりにも懐かしくて、嬉しくなっちゃって、思わず話しかけちゃいました」
一緒にいたおじさんも「いきなりすいませんね。」と笑顔でフォロー。
まったく相手にしないカップル。手にした本を早く読みたいそぶりを見せ、話を打ち切ってしまいました。
たとえば、そのカップルが、知らないおじさんに話しかけられても愛想よく返せないような若造ならそれも仕方ないような気がする。(いや、たぶん今ドキの高校生だってもっと愛想よくするでしょ)でも、たぶんそのおじさんと同じぐらいの歳だと思われ。それも、どう見ても50前後。
えーーーっと。普通もっと感激しない?だって、そのケースは自分が気に入って買ったわけでしょ?しかもずいぶん昔に作った物だって言うし、けっこう使い込んだ感じだったし愛用してるギターケースなわけじゃん。
そんな自分にとって愛着のあるものを作った張本人がホントに偶然、目の前に現れたんだよ?それも、たとえばスタジオだとかホールだとか音楽家が集まるような場所じゃなくて電車だよ?公共の場所だよ?こんな偶然そうそうないでしょ。私だったら、感激のあまり握手しちゃうよ。「うわぁぁっ、マジっすか!」ってな勢いで。相手がどんなに冴えないおじさんだろうと、サインしてもらっちゃうよ。
でも、そんな人ばかりじゃないんだね。そのカップルはどちらかというと迷惑そうだった。そんな人もいるんだ。
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