まっとうな人と出会いました。たぶん世の中的には変わり者に分類されるのかもしれないけど、人間的にはきっと非常に誠実な人なんだろうなと思いました。最初はなんだかのんびりした人当たりの良い、感じのいい人だなぁと思い、しばらく話してみるととても頭のいい人だなぁ、というのが第一印象でした。
10年近く前、社会人なりたての頃、まったく専門外の業界に入って右も左も分からず、自分がサポートしてる部署が一体何をしているところなのかも分からず、歓迎会の時に質問したことがありました。
「この部署の人たちはどんなことをしてるんですか?」
その時の答えがものすごく適当でいい加減でもっっのすごく苛立ったことを不意に思い出しました。結局のところ説明するのがめんどくさかっただけなんだろうと思うし、私の知識がどの程度のものかも分からず、またどこまで詳しく聞きたいのかも分からず、結果、そんな比喩的な答えを返したんだと思う。(そうは言っても、その後別の機会に同じ人や違う人に聞いても、直球な答えは返ってこなかったなぁ。結局、自分で部内のデータベースに入ってる資料を読み漁って、なんとなく大雑把に把握しました。)
でも、それは今その人のことをそれなりに知って、好意的な解釈をできるようになってるからそう思うだけで、その時は初めて会った日で、「バカにしてんのか?」って思ったし、専門外の相手に、簡単な言葉できちんと理解してもらえるように伝えられるのがホントに頭がいいってことだよなーって心の中で思ったものです。なので、その人がどんなに周りから高評価でも、その後私の友達が軒並みその人に惚れていっても、私は自分の個人的な話をその人にすることはなかったし、同僚として仲良くなっていっても、その人の内側に興味をもつことはなかったなぁ。
それでもなぜか特別な存在ではあったし(たぶんその人に言われた一言でBreakthroughが起きたからかな)酔って醜態を見せたり迷惑をかける程度には心を開いたりはしてたけど、周りの同僚たちにはその人は私のことが好きだと言われたこともあったけど、一度、たまたまタイミングで二人だけで会う羽目になったことがあって(ずっとじゃなくて一次会に他の誰も来られなくなっただけ)みんなの中にいる時はやたらその人と私が話の中心になることが多かったのに、二人だと何を話していいか分からなかったし非常に居心地が悪かったのを覚えてます。(その人に知って欲しいことも知りたいこともなかった典型的な事例だなぁ)その後みんなが合流した時にそれを言ったら向こうもそう思ってて、やっぱりねってお互い妙に納得したんだけど。
って話がだいぶ逸れたけど、つまり自分の話を適当にごまかす人が嫌いだったはずだってことですよ。それが、そんな人が大多数な業界にいて、だんだん違和感がなくなってきて、ウワベだけの会話も何不自由なく出来るようになって、たぶん今は私も似たようなことをしてると思う。もちろんその分たくさんの本音トークもしてるし、単に選ぶ言葉が違うんだよなって思うこともあります。なのでそんなことを思ってたことすら忘れてた。そんな会話に不快感を覚えてたことも忘れてました。
昨日知り合った人は、どこかで飲んできた後だったにも関わらず、自分だけのくつろぎの時間だったにも関わらず、私の根本的な質問にも嫌な顔ひとつせず、話をしてくれました。なんか、兄の友達にこういう人多いなぁって思った。ただ、兄がやってることは私にとってもともと馴染み深い分野だし自分でも勉強したので、質問自体をあまりしなかったり質問の仕方も答えやすいものだったりするわけで…
本当に門外漢で、その分野には知識どころか興味もなく、私の人生でかすったことすらないものなのに、なぜか質問しまくっちゃいました。そして、すべて丁寧に分かりやすく答えてくれました。その話をしている中で必要なある程度は常識というか、高校のとき授業でやったでしょ!っていうような(私には)難しいお話も、「それってそもそも何でしたっけ?」みたいなアホな質問をしたら易しく教えてくれました。やっぱねぇ・・・そうじゃなきゃ、と思うんですよ。別に私には必要のないことだからって適当にごまかされると何だか・・ムッとしてしまうんです。
確かに人によっては特に飲みの席なんかでそういう堅苦しい話はしたくない、と思うのかもしれないけど、私はそういう知的好奇心が満たされるようなお話こそ、飲んでる席でも盛り上がれるんじゃないかと思うんですよね。もちろん常にそんな話じゃなくてもいいんですけど。
そして、訊かれたことに対してそうやって真摯に答えるのって、やっぱり相手に対する礼儀のようなものだな、ということを思い出しました。最近、自分が適当になってたなぁ・・・って思った。仕事がらみの人と飲みに行くことが多いせいか、分かってること前提で話したりするので、話が早くていいけど、話題も偏っちゃうのかもしれないな。
そんなこんなで、昨日は、なんだかいい夜でした。