私、バイオリン嫌いだったんですよ。敢えて出す、あのギィッって音や、すりガラスを小指の爪で引っ掻いたような音や・・・何より高音が苦手でした。なので、誰にも言わなかったけど(笑)なるべく避けてたのです。なので、歯医者さんに行ってもBGMが苦手で実は落ち着かなかったりしました。(歯医者を嫌いなのはキィーーンってやられるのがイヤっていう人が多い中、私はそれは全然平気で、シュッって水蒸気みたいなエアみたいなのを吹きかけられるのは大好きだったりしますが。)あ、でもPizzicatoは好きだけど。なぜかワクワクしちゃうんだけど。チェロとかは好きなんだけどね。自分の声が低いせいか(?)低い音が好き。
でも、ここ数年、意外とバイオリンいいかもって思うようになってきていたところに、以前、ちょっとだけ一緒に働いたことのある女の子に誘われて、久しぶりにクラシックコンサートへ行ってきました。初・紀尾井ホール。初・バイオリンコンサート。米谷彩子ヴァイオリンリサイタル。
シューベルト:華麗なロンド ロ短調D895
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第10番ト長調
ペルト:フラトレス
ファリャ:スペイン民謡より
レスピーギ:ヴァイオリンソナタロ短調
(アンコール)
滝廉太郎:荒城の月
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータ(確か)第2番
最初、ぜんっぜんノッてないし、伴奏者も指全然回ってないし、こちらとしても全く曲に入り込めず。まぁ、曲の後半ともなるとだんだん気持ちが入ってくるんだけど、ようやくノッてきたかな?と思うと終了~。なんだか残念な感じだなぁ、と思ってました。まぁ、でも聞きたかったのはファリャなので、もうちょいガマン、です。
ところが。休憩後のペルト。一度も聞いたことないし、作曲家すら知らなかったんだけど。しかもジャズでもない現代曲、けっこう苦手かもなーって思ってたんだけど。二人とも、まさに本領発揮って感じでした。しかも、客席はお年寄りだらけだったし前半なんてみんな寝てたのに、なんだか知らないけどみんな夢中。伴奏者、実はピアニストではなく作曲家らしいんだけど、さすがだなーって思った。ピアノがピアノであってピアノではない、そんな感じ。
その曲がどんなストーリーを持った曲なのかの前知識もないまま聞いてたのに、いきなり鐘が目の前に見えた。本当にその音を表現しているのかは知らないけど。そして、何か細いものが振り子のように行ったりきたりしているのが目に浮かんだのです。
私は声にしても楽器にしても、「音」が大好きだけど、好みもあるけど、好き嫌いに関わらず何かの情景が浮かぶってことはあんまりない。もちろん思い出が浮かぶことはしょっちゅうだけど、その曲からのインスピレーションで見たことのない景色がパッと浮かんでくるなんてそうそうありません。
うわ、久々ヒット。これが、正直な感想でした。
帰ってきて調べてみたら、キース・ジャレットのピアノでCDが出てました。買っちゃおうかなー。
もちろん、ファリャも良かった。これは期待通り。それにしても、私、バイオリンもさることながら、近現代嫌いだったのになー。やっぱ、好みって年齢と共に変わるよね。それに、食わず嫌いはいけないんだなー。しみじみ。