台風の中、マレイ・ペライアのコンサートへ行ってきました。どうなることやらと思っていたけど、行きも帰りも特に問題なく、無事素晴らしい演奏を聴いてくることが出来ました。曲目は下記のとおり。
バッハ/フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV 815
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第23番 へ短調「熱情」 Op.57
シューマン/ウィーンの謝肉祭の道化 Op.26
ショパン/即興曲 第2番 嬰ヘ長調 Op.36
ショパン/スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
コンサートが始まり最初のB単音を聴いただけで鳥肌が立ってしまい、否が応にも期待が高まり、一瞬で曲に惹き込まれました。ちょっと抒情的すぎるかなとも思いましたが、やっぱりペライアの演奏は好きだなぁと思いながら聞いていました。次の熱情は自分が何度も弾いた曲だったので、勝手に頭の中で音楽を歌いだしてしまうけれどタイミングはもちろん音の出し方も全然違ったりして、そう弾いちゃうのか!という驚きや楽しさでいっぱいでした。その音は扉をたたく音だったのか!という今さらな気づきもあったりして(笑。
休憩を挟んで後半。ウィーンの謝肉祭の道化はサビというか冒頭のフレーズしか覚えてなくて(笑)、一曲丸ごと向き合って聞いたのは実は初めてで、シューマンの音楽はいつも慣れるまで過剰すぎる気がしたり野暮ったく感じたりするので、あんまり楽しめませんでした。即興曲2番は、あぁやっぱりこの人はショパンが一番似合うなぁと思いながら、次の曲への期待でいっぱいになったところで、曲の変わり目で舞台袖に戻ることなくそのままスケルツォへ。この曲も私はたぶん高校生の時に弾いた気がするんだけど、あぁ私は何も分からずに弾いてたんだなぁと痛感しました。こんなにドキドキする曲だったんだっけ。それにこの曲に限らず当時は冒頭や有名なフレーズを弾く/聞くのが好きだったけど最近は中間部分にときめくようになっていることを再確認。
さらにアンコールを3曲。
ショパン/ノクターン 第4番 Op.15 No.1
ショパン/エチュード Op.10 No.4 嬰ハ短調
ショパン/エチュード Op.25 No.1 変イ長調 エオリアン・ハープ
私はいつから小曲が好きになったんだっけなぁ、たぶん80歳ぐらいのおじいちゃん先生がトロイメライを弾いているのを聴いた日からだな、と思いながらノクターンを聴いていたら、こんなに集中して大曲を弾いてきた後のアンコールでOp.10-4弾いちゃうの!?と驚いたけれど、そっかこの曲は力要らないのかと愕然としてしまうほどに脱力してあっさり弾き切ってしまい、最後のエオリアン・ハープは天上の音楽というのにピッタリな演奏でした。
今回のコンサートは総じて素晴らしかったんだけど、ときどき「きっとこの後のサントリーホールに照準を合わせてるんだろうな」と思ってしまったりもして、完全に曲に入り込むのが難しかったというのも正直なところです。とは言っても、ただ譜面通りに画一的に弾くのではなく同じ音同じ記号でも指の置き方腕の使い方その他諸々で音はまったく変わるしピアニストも身体全体が楽器なんだよなというのを視覚的に納得できるし勉強になる楽しい時間でした。
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