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月: 2015年6月

土曜日の夜。

夜中に左胸の痛みで目を覚ました後、なんとなく横になっているのが苦痛だったのでそっと起き出して、廊下を通り抜けてリビングへ向かう。その時点ですでに身体中の違和感に気付く。右半身がとにかく痛い。でもよく考えるとどこも痛くない。自分の身体なのに自分のものではないような感覚。ソファに座ってみるも、座っていることが苦痛。寝転がってみても収まりが悪い。立ち上がってみても痛みに耐えられない。ひとりで部屋の中をうろうろと歩き廻ってみる。歩き廻らずにいられない。指や手首をポキポキと鳴らす癖があるのだけれど、どこを動かしてもまったく鳴らない。腰を捻ってみても同じ。いろいろとストレッチをしてみても寝起きだというのにどこの関節もならない。すべての関節が外れているような気がする。もちろんそんなことはあるはずがない。首がはまっていないような、自分の芯がなくなってしまったような不快な感覚。もう一度座ってみる。やっぱり落ち着かない。何が何だか分からない。左胸は相変わらず本当に痛い。右半身は痛くないのに痛い。どうしようどうしよう。叫び出しそうになる。

私が隣りに寝ていないことに気が付いた彼が起きてきた。ソファに座っている私に声をかける。どう説明していいのか分からず途方に暮れる。だけど心配させたくないからしゃべってみる。何が起こっているのか自分でもよく分からないから伝わる自信もない。身体と意識がかい離しているのかと訊かれたけれど、文字としては合っているような気がするけど、自分の感覚としてはそういうのじゃない。正確に伝えることは不可能な気がする。でもソファに横になったり座ったりしてみている私のそばにずっとついていてくれた。とてつもない安心感。先週は朝が早い日が多かったのに、眠いはずなのに付き合ってくれた。少しずつ落ち着いてきて、とりあえず胸の痛みは消えた。痛いような気がするけど痛くない嫌な感覚もなくなった。まだ自分じゃないような感じはあるけれど眠ってしまった方が楽だと思えるほどには回復した。寝室に戻り、ベッドに横になって、不安なまま眠りについた。

翌朝、いつも通りの自分だった。どこも痛くないし、ちゃんと自分だった。